「川喜田半泥子と人間国宝たち」展 宮崎県立美術館

先日、宮崎県立美術館へ「川喜田半泥子と人間国宝たち」展に出かけて来ました。

川喜田半泥子は、三重県津市出身の数寄者。
裕福な家庭に生まれ、だからこそ遊び尽くしたと言えます。
決してプロの陶芸家ではなく、アマチュアであったからこそ出来た傑作群でした。

半泥子が生きた時代は、陶芸界はまさしく群雄割拠といった様相で、今回同時に展示されていたかつての人間国宝たち、金重陶陽、荒川豊蔵、三輪休和、中里無庵、加えて小山富士夫、北大路魯山人といった巨人たちが活躍していました。

今回の展示会は、半泥子の代表作と、交流のあった巨人たちの作品を一堂に集めた、興味深いものでした。

半泥子の作品は、まとめて鑑賞するのは初めてでした。
技術的には、轆轤にしても決して上手い訳ではありません。プロの技とは明らかに違います。
しかし、そのことは半泥子に限っていえば何ら欠点になっておらず、むしろ無邪気さがストレートに伝わってくる、それが技とも言えるのではないかという印象でした。

おそらく“本物の道具”に囲まれて育った生来の境遇と、類いまれなセンスが産み出したものと言えるでしょう。
魯山人の書簡も展示されていましたが、この二人はよく似たタイブの数寄者だったのでしょう。お互いがライバルとして非常に意識し合っていたことが伺われます。
(魯山人の生い立ちは半泥子とは対照的ですが)

気に入った作品は沢山あったのですが、あえてひとつを選ぶとすると志野茶碗「おらが秋」でしょうか。

また、その他の人間国宝の展示作品も見応えのあるものでした。

個人的な興味では、やはり金重陶陽、荒川豊蔵は群を抜いて素晴らしく、三輪休和はやはり好きになれなかった、ということでしょうか。

中里無庵といえば、僕の師匠筋になる訳ですが、さすがに唐津焼を世に再び知らしめた名品でした。
今回3品のみでしたが、いずれも素晴らしいものでした。

陶芸作品ではないのですが、書や画も何点か展示されており、なかでも荒川豊蔵が描いた「半泥子古志野かけらを洗ふ図」は、子供のように嬉しそうに古陶磁片を洗っている半泥子を、慈しみ深い目で観ている豊蔵が目に浮かぶ様で、半泥子の人柄(芸術に対する評論は歯に衣を着せないものがあったらしいですが)と、豊蔵との友情の深さが垣間見られるものでした。

非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。
宮崎県立美術館には、このような優秀な工芸品の展示会を定期的に企画していただき、収蔵品もぜひ工芸品を加えていただきたいものです。

石水美術館


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