安宅コレクション展〜福岡市美術館にて

16日土曜日、福岡市美術館で開催されていた「美の求道者・安宅英一の眼 安宅コレクション」展を見に行って来ました。

大阪市立東洋陶磁美術館は僕の最も好きな美術館のひとつで、関西に行く機会があれば必ず寄るようしています。
といっても、最後に訪れてから早7、8年になりますが(^^ゞ

安宅コレクションの中でも最も僕が注目するのは、国宝である「飛青磁花生(元、龍泉窯)13-14世紀」です。
姿、発色、状態、すべてが完璧です。
このような完璧なもの、ともするとその完璧さが嫌みになったりするものです。
それは不完全な存在である僕自身のひがみでもあるのですが。
しかし、この花生にはその嫌みが全く感じられません。
なにか、大らかな優しさの様なオーラを感じるのです。
今回で3度目の対面となりましたが、その感動が薄れることはありませんでした。

対して、もうひとつの国宝である「油滴天目茶碗(南宋、建窯)12-13世紀」にはこれまでさほどの魅力を感じたことがありませんでした。
これは油滴釉自体に、珍しいものではあるのだろうけど、だからといって美しいとは限らない、と思っているからです。
現在でも、この油滴天目を再現された陶芸家の方が何人かいらっしゃいますが、さほど惹かれたことは正直ありません。
天目茶碗の形がそんなに好きではない、というのもありますが・・・

しかし、今回改めて見るとその国宝となる理由が何となく分かりかけた様な気がします。
油滴の珍しさもありますが、見込みの色のグラデーション、縁の黒から次第に青みを帯びて行くあたりは美しいものでした。

この他にも、いろんな作品に再び会えました。
「加彩 婦女俑 かさいふじょよう唐時代・8世紀」の造形美、
重要文化財「白磁刻花 蓮花文 洗 はくじこっかれんかもんせん 北宋時代・11世紀」の技術の確かさに裏付けられた白一色、
「粉青線刻 柳文 長壺 ふんせいせんこくやなぎもんちょうこ 朝鮮時代・15世紀後半〜16世紀初」に見られる大らかさ、
「青花 梅竹文 壺 せいかうめたけもんつぼ 朝鮮時代・15世紀後半」の画術の巧さに、
いろいろと刺激を受けることが出来ました。

安宅氏の目利きには、「優等生」と「落第生」があったそうです。
どういうことかと言うと、国宝に見られる様ないわゆる「完璧」な美しさのものと、李朝時代のものにみられるような、素人目には子供の遊びともとられかねない様な雅味を、同等に自身の審美眼で見られたそうです。

それは会社(総合商社安宅産業株式会社)の新入社員の採用にも現れ、学力試験に落ちた人を対象に面接による採用試験も行ったそうです。

そんな所に安宅コレクションの魅力があるのかもしれませんね(^_-)


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