器とは、あくまで料理(あるいは花など)を引き立たせるための“着物”でしかありません。 料理を邪魔しないシンプルなデザインこそ、長く飽きずに使っていただける器。ぱっと見の印象だけでは、真の良さは理解しにくいものです。
ともするとその単純さゆえに、注目されにくいこともあります。しかし、その制約の中でいかに個性を発揮していくか、工芸作家としての力量が問われるところだと考えています。
実用性の中の芸術性。単に作るというだけでなく、作家自身の哲学が必要なのです。
「割れさえしなければ、100年でも200年でも使い続けていただける器」を目指しています。
シンプル・イズ・ビューティフル。
この言葉は、経済学者シューマッハーの名著「スモール・イズ・ビューティフル」からヒントを得て作ったものです。 私の器はシンプルなものですが、そこにはシンプルに生きていきたい、という思いが込められています。
シンプルに生きることの喜びを、器を通してみなさんと共有出来れば、これに勝る喜びはありません。
これからの世の中は、想像を超えたスピードで今までの常識が通じなくなってくるでしょう。世相の変化に対応するために、今何を考えなくてはならないのか、何をしなくてはならないのか真剣に取り組む必要があります。
友人の田んぼで手植えを体験しました。将来は、一反ほどの田んぼを借りてお米を自然農で作るつもりです。もちろん、自給のためです。
自分で作ったお米、野菜を自分で料理して、器に盛る。
そんな当たり前の生活を、もう一度見つめ直したいと思っています。
まあ、僕は幸せになりたいだけだし、僕の器が皆さんの幸せの小さな一助になれれば、それが幸せなのです(^_-)