日本の夏 宮崎の峠2021 2日目

7月28日、朝。4時半に目覚める。K介さんの奥さんにわがままを聞いていただき、6時に出立できるよう早めの朝食をいただく。本当にありがとうございました。
「朝晩はSammyわ」という言葉の通り、すっかり冷え込んだ朝だった。しかし5時半を過ぎて日が出てくると、一気に気温も上がってきた。

体が重い。右膝の痛みも引いていない。しかしこれまでの経験では、走っているうちに痛みも引いてくる、はず。
今日は今回のメインディッシュ。1日で4つの峠越えが待っている。

いつも旅をするとき、携帯するのが紙の地図とコンパス。スマホがあったとしても、最後に頼りにするのはこの二つだ。
ところが気の緩みからなのか、フロントバックのバンジーコードに挟んだマップケースを出立早々に紛失してしまった。今回は山の中のルートなので、林道の支線が複雑に絡み合っており、一歩道を間違うと山中を彷徨ってしまう、そこまでないにしても大幅なタイムロスがあることは容易に想像できた。それで国土地理院地図で細かい地図を印刷して持参するつもりで前日に時間をかけて準備していたのだ。なのに。

ま、時間をかけたおかげで大体の地図は頭に入っていた。イメトレもできている。大昔では、20万分の1のロードマップひとつでツーリングしていたのだから、なんとかなるわ、と腹を括る。ついでに、見せてもらおうか、連邦の新しいスマホの性能とやらを。

というわけで、Ride with GPSで記録しつつ、現在地を確認していくことにする。

6時半に出立。K介さんご夫妻にお見送りしていただく。本当に感謝に堪えない。

気持ちの良い夏の朝

2.5kmほどでR265を離れ井戸内川の谷筋に入っていく。だんだん傾斜もキツくなってきた、と思ったらすぐに7〜8%の傾斜が10km近く続く。きつい。一品目、井戸内峠の始まりだ。
右膝の痛みをどうにかするため、左足に意識を移し、骨盤を左右に押し出す、太ももリフティングのイメージでペダリングする。しばらくすると痛みが弱くなってきた。

2時間ちょっとで井戸内峠に着く。約13.5km。石堂山6合目登山口の案内板がある。K介さんが「あれを自転車で行くとね〜?」と呆れていた訳もわかる。きついわ、これ。
ペダリングの分には膝の痛みも和らいできたものの、歩くとかなり痛い。

ところで、前日に周辺自治体に電話し(もちろんネットで確認した上で)、道路状況を確認した。その時に西米良村役場では「村内では規制なし」という話だったが、元役場職員であるK介さんも確認してくれていた。すると井戸内峠から下ったところが舗装の修繕中で通行止め、とのこと。ただ、自転車ならば通れる、ということだった。「担当者しか知らんからね〜」ということだが、めちゃくちゃ困る。ちょっと引き返して迂回路を、というわけにはいかない。

なんにせよ、件の工事現場は通行止めのコーンがあったが工事は終わっており誰もおらず。無事通行できた。

登りがあれば下りがある。しばらく下っていくと、遠くに滝が見えてきた。布水の滝だ。

虹の滝、布水の滝と見事な滝を梯子する。虹の滝からは二品目、日平越の始まりだ。井戸内峠ほどではないものの、しっかりとボディブローが効いてくる。1時間をかけて登り切る。村所から23km。出立からすでに4時間が経過していた。

ラピュタのロボット兵か。役目を終えたカーブミラーがひっそりと佇む。

日平越からの下りは荒れ気味。落石、落枝多く、道路は舗装されているものの苔むしている。とてもスピードは出せない。
しばらく下ると、「手力男神社」の案内がある。連邦の新兵器を確認すると目指す県道39号線への近道らしい。このあたり、紙の地図ではなかなかできない芸当である。何せ情報は最新、縮尺も自由自在なのだから。
道は狭いものの、恐る恐る下りてみることにする。途中、地元の方に道を尋ねると間違いないらしい。無事に銀鏡川へと出ることができた。

しばらく川沿いを峠への登りを進む。6-7%の傾斜が5kmほど続き、やがて川から外れ、次第に傾斜もキツくなってくる。
鞍部は鬱蒼とした林の中だった。

五郎ヶ越

Ride with GPSを確認すると、峠直下は15%ではないか。

ちょうどお昼だったが、食欲どころではない。予定では下の渡川(どがわ)まで下りているはずだった。柿ピーを無理やり流し込み、体に鞭を打つ。

峠から降り始めてすぐ、開けた場所から滝が見えた。なんという滝だろう?かなり大きい。
ググってみると、白水の滝、というらしい。

標高が下がると、気温が一気に高くなる。
渡川からトンネルを抜け、又江の原に出る。14時を回っている。ここから今日最後の大皿が待っていた。

緑資源幹線林道 宇目・須木線」という新しい道を諸塚に抜ける。事前の地図確認で、複雑に支線が絡み合っていたので、田んぼ作業をしていた地元の方に尋ねる。

「あんた、あん道を諸塚ほうさ、抜くっとね?自転車で?あそこん山ん上に電波塔が見ゆっじゃろ?あそこんにき(近く)をこゆっとよ?へぇー」
と10km先の山を指さして目を丸くした。電波塔の右側に集落がある、杉のさらに右に松が見える(み、見えるか?・・・あれかなあ)その辺りを道が通っている、とのこと。とにかく広い道を行け、と教えていただいた。

最初、いやあそんなこと言っても、多分山頂より下がったところの鞍部に峠があるんだろう、と思っていた。が、マジだった。

平均6%、最高12%の11kmの坂を登る。手元のメーターは時速3kmを示している。ここを越えさえすれば、宿に着ける。しかし今日一番の坂だった。名も無き峠。
息が荒過ぎて、呼吸が苦しい。熱い空気を体が受け付けないようだ。17時に峠に着く。
念のため、宿に連絡を入れておく。あと1時間ほどで着けるだろう。そこからは一気に下っていった。

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