焼き物と一口に言っても、作家さんそれぞれにこだわりがあります。
土にこだわる人,焼きにこだわる人,釉薬にこだわる人。
やそいちの場合、第一に“美しい形”にこだわっています。
ここでは,蹴ろくろを中心にした造形と焼成過程でのこだわりをご紹介します。 釉薬でのこだわりは、各「作品紹介」をご覧ください。
足で蹴って廻すタイプのろくろ。電動のものと比べて、体力と技術が必要です。
ろくろを蹴る下半身と、粘土を引き上げる上半身のバランスが要求されます。
作品の価格を抑えるためには、電動ろくろと遜色ない生産性が必要と考えています。
作る器に合わせて土のかたまりを取り、両手の指で大まかな形まで挽きます。
「牛ベラ」を用いて、最終的な形まで整形します。
蹴ろくろの特徴としては、廻すリズムの自由さがあります。 回転のリズムと、土を引き上げるリズムが絶妙にシンクロしたとき、美しいラインが生み出されるのです。
ろくろでの成形後、半乾きの状態で、鉄の板をL字型に曲げた“カンナ”を用いて高台を削りだします。
やそいちのこだわり!
水挽きで作られたラインを壊さない最小限の削り。
有田などの磁器では、器胎すべて削ってラインを作ります。 やそいちでは、水挽きの段階で最終的な形が決められます。 このことによって、有田の清潔感と唐津の手づくり感の融合を実現しています。
メインで使っている「白さつま」の土は、一般的な粘土に比べキメが細かいため、土練りではいわゆる「菊練り」が出来ません。
やそいちのこだわり!
「白さつま」の土は、唐津と有田での経験を生かした自分らしい焼き物が出来ると考えています。
主にガス窯によって焼成。 1200℃以上の高温で焼かれます。
「白さつま」の土は粘土と磁器の焼成温度の中間くらい。強度的にも、両者の中間ほどです。
やそいちのこだわり!
20時間以上をかけて焼成し、「白さつま」の場合火入れから窯出しまで5日間を要します。
なぜ宮崎で作陶するのか
私は、ここ宮崎で生まれ育ちました。 生を受けたのは宮崎県の南西、小林市。 そして3歳から18歳までを県北の延岡市で過ごしました。 大学は岡山に行き、昔から好きだったサイクリングや登山で全国を放浪というか貧乏旅行(笑)しました。 卒業後進路を見直すために、3ヶ月のインド放浪に出かけました。
それらの経験から、宮崎って住むには最高の場所だな、という結論に達しました。
人によって最高と考える条件は違うでしょうが、私の場合、第一に自然が豊かであることでした。 宮崎には海も、山も、川も、それこそ贅沢なくらい備わっています。 なんといっても、ひむか(日向)の国というくらい太陽の恵みを受けている場所です。
そして本当に、水のきれいなところ。
特に、現在私が住む綾町は水が美味しい。 水を飲むだけで幸せになれます。 それも日本最大級の照葉樹林帯があるためです。
ものを作るということは、己の深いところから沁み出てくるものを表現することだと思います。
修行した唐津の地で独立する選択肢もありましたが、そこで唐津焼を体現するには唐津人になりきることが必要だと思います。そのためには少なくない時間が必要となるでしょう。
しかしよく知った、そして大好きな宮崎でもの作りをすることは、オリジナルの作品を作ろうと考えたときに私にとって一番のアドバンテージになると思っています。それがたとえセールス的に不利であったとしても。
誰にも作れない、やそいちにしか作れない器を作りたい。
頑固者です(^^ゞ
このように様々な取り組みでオリジナル性を追求しています。