私を離さないで

「私を離さないで」

先日、NHKで日本生まれの英国作家カズオ・イシグロの特集があって、興味がわいて図書館で借りてきました。

31歳のある女性の独白で始まる物語は、イギリスのとある寄宿舎での生活から始まります。
一見すると平和で、しかし子供特有の微妙なバランスの人間模様が丹念に描かれます。
男性の作家とは信じられないくらい、少女たちの心の襞をリアルに描いてあります。
ま、僕もホントのところは分からないので、想像なんですがね(^^ゞ
正直なところ、序盤はそんな何気ない日常生活の描写に終始し(とは言ってもいろんなところに伏線は張られているのですが)少々退屈感は否めないのですが。

しかし中盤以降、その物語の異様さが徐々に明らかになってきます。

非情で残酷な運命に晒されながらも、ひたすらに純粋に生きていく主人公たちに心打たれます。
感動、とは違う。感銘、と言った方がいいのか。

話は飛びますが、先日「29万の雫」という舞台を鑑賞しました。
宮崎で起きた口蹄疫事件を、当事者へのインタビューを元に構成された演劇です。
この事件は、いろんな見方はあると思いますが、牛たちに対して為された大量殺戮、とも言えます。
図らずも、この本を読んで、この舞台を思い起こしました。

しばらくはこの本について、いろいろと考えを巡らせそうです(^_-)

 

「キャシー」

君と出会った幼い日
何気ないひと言が うれしかったよ
遠くから見守る君のまなざし
孤独な僕には温かかった

15の頃 君のお気に入りのカセットテープ
あの歌をひとり聞いていたね
君がテープを失くしたという噂
僕は寄宿舎中を探し回ったよ

Never let me go 私を離さないで
Never let me go 私を離さないで
知っていたのさ 大人たちのずるさを
君の哀しみを 僕らの運命を

18の時 ドライブした失くし物の町
ぽっかり空いた時間に 古道具屋を周ったね
見つけてあげたかったあのカセットテープ
でも見つけたのは君の方だった

大人になって初めて過ごす 君とふたりきりの日々
懐かしい友はもういない
他愛のない会話がこんなにも愛おしい
最後の時も笑って別れよう

Never let me go 私を離さないで
Never let me go 私を離さないで
教えてほしい 僕らの罪を
彼らの慈悲を 君の優しさを

さあおいで そしてあの日の海へ

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